THIS WEEK「政治」 2024/03/07

「もしウチの議員だったら…」野田佳彦が自民で高評価の訳

野田 佳彦(のだ よしひこ、1957年〈昭和32年〉5月20日 - )は、日本の政治家。立憲民主党所属の衆議院議員(9期)、立憲民主党最高顧問。

2月の最終週に、現職首相と元首相が直接対決する「政治ショー」が2度も行われた。

 1度目は、26日の衆院予算委員会。

 岸田文雄首相と対峙した立憲民主党の野田佳彦元首相(66)は冒頭、「同い年で1993年の同期当選。93年の総選挙の最大の争点は政治改革だった」と語りかけた。自民党の石破茂(いしば しげる、1957年〈昭和32年〉2月4日 - ))氏や公明党の赤羽一嘉(あかば かずよし、1958年5月7日 - )元国土交通相らの名を挙げ、熱い政治改革論をぶつけ合った思い出を紹介した上で、「(岸田首相とは)当選後に割り当てられた議員会館の事務所は7階の隣同士(となりどうし)だったが、政治改革の議論はしていない」と述べた。

 政治部記者は、「首相が本音では『政治改革』に関心がないことを印象づけたかったのだろう」とみる。

 さらに野田氏は、首相が2022年に7回の政治資金パーティーで約1億5000万円を売り上げたことを紹介。大規模パーティーの自粛を求める大臣規範を逸脱していると指摘した。首相が務める党政治刷新本部の本部長を「辞めた方がいい」と迫った。

 そして、第二幕は3日後に訪れた。

 首相が突然、自らの出席を表明した29日の衆院政治倫理審査会だった。

 野田氏は「政倫審に内閣総理大臣が出席すること自体に、強烈な違和感を覚える」と批判から始め、リーダーシップ論を展開した。第一幕の続編とばかりに、首相のパーティー問題を取りあげ、岸田氏から「首相在任中はパーティーを開かない」と言質(げんしつ)を取った。

 だが、政治部デスクは「リーダー論は政倫審でやるべきことか。政倫審の野田氏は時間の無駄遣い。立憲にとっては野田氏の無駄遣い」と手厳しい。

「せっかく首相が『自民党総裁として出席する』と言ったのだから、裏金事件(うらきんじけん)で総裁が果たすべき役割を明確に求めた方が良かった。せめて『裏金の経緯を調べろ。そのためには森喜朗(もりよし ろう)元首相を事情聴取しろ』ぐらいは言うべきだった」(同前)

 翌3月1日に登場した(えだの ゆきお、1964年〈昭和39年〉5月31日 - ))前代表は、弁護士らしく安倍派幹部に事実関係を一つ一つ詰めた。安倍晋三元首相がキックバック取りやめを決めた22年4月の幹部協議や、安倍氏死去後の同年8月の協議の一端を浮かび上がらせた。

「政倫審での岸田首相への追及は枝野氏の方が良かった。野田氏の起用は失敗だった」(立憲関係者)

 一方、「ポスト岸田」が見当たらない自民党からは、「もし野田氏がウチの議員だったら……」との声も漏れ伝わる。堂々とした風格と分かりやすい弁舌が「どちらが総理か分からない」と評判を呼んだのも事実である。