夜ふけのなわとび 第1830回 2024/02/16
日本女性の未来
朝刊の広告に開成中学の、数学(算数か)の入学試験問題が載っていた。
ためしにやってみたところ、まるで出来ない。というよりも質問の意味さえわからない。私はある時から、大学入学共通テストの問題を見ないようにしていた。もはや高校生レベルは無理だろうと諦めていたからだ。しかしいくら知力が衰えているからといって、小学生の試験さえも出来ないとは……。涙が出そう。
というようなことを、その日たまたま食事をした知り合いの女性に話したところ、
「あら、あれは私も無理ですよ」
たおやかに笑った。
「あれは特別のテクニックがなければ解けません。日能研とかサピックスに通っていなければ解けないようになっているんです」
この方は東大法学部卒、キャリア官僚という経歴だ。この人が解けない、というのなら私に解けるはずはないなと安心した。いや、私を慰めるために嘘を言っているのかもしれない。本当に頭のいい人は、謙虚で優しいということを私は知っている。
おまけにこの方はとても綺麗、おしゃれで知的な美人……とか言うと、ルッキズムがどうのこうのと言われる世の中であるが、美しくて頭がいいときたら、ひれ伏してもう憧れるしかないでしょう。
ところでルッキズムといえば、ミス日本に選ばれたウクライナ出身の女性が、不倫をしていたと週刊文春に書かれたことによって、その地位を辞退してしまった。なんだかとても後味の悪い事件であった。
そもそもこの「ミス日本」というのがよくわからない。このコンテストは、ファイナリスト全員に着物を着せ、それをスポーツ紙に載せる。どういうことかというと、着物が似合う女性こそ、日本美人の条件、ということを公にしているわけで、これとダイバーシティを謳うというのは、矛盾とまでは言わないが、まあちぐはぐである。それが何を考えたか、外見はウクライナ人、という女性を「ミス日本」に選んだ。話題性もあったろう。しかし、誰かも言っていたが、この女性がロシア人だったらどうだっただろうか。二次ぐらいで落としたような気がする。
今、ウクライナ出身であるということは、とても崇高なことで、それは日本女性の精神に通じる、というのが審査員の見解だったんだろう。
つまり今、ウクライナという国がじっと耐えている力が、日本女性の耐え忍ぶという美徳と重なったということだろうが、これ発想自体がかなりアナログだ。
そしてさらにびっくりしたのは、日本女性の美の手本となるべき人は、不倫をしてはいけないということ。
選んだ関係者もそう思っているようだし、ネットに投稿するような普通の人たちも、そう考えていることにたまげてしまった。
今日び、若い女性が、お金を持っていて仕事が出来るおじさんとつき合うのはいくらでも聞く話だ。
もちろん誉められた話ではないが、好きになったら仕方ない。ところがこの頃の世の中が急にうるさくなってきた。30年前なら「失楽園ブーム」もあり、世間は寛大だった。しかし今ではSNSというものがあり、ここに生きる人たちはなぜかものすごく古い道徳観を持っている。
「奥さんや子どもを苦しめている」
と断罪する。だから世の中に出ている人、出ようとしている人たちは不倫をしないのが賢明だ。 ミスコンとホストクラブ
しかしカロリーナさんとやらは、妻子ある男の人とつき合っていた。そして「ミス日本」に応募した。外国人の外見を持つ自分が選ばれるはずはないと思ったのではないか。しかし「世の中の流れ」や「ダイバーシティ」に敏感な審査員たちは、彼女を優勝させてしまった。
彼女は一夜にして有名人になった。有名人となったら、週刊誌から狙われるのは必定。ミス日本が不倫と、週刊文春に書かれることになった。
可哀想なカロリーナさん。
が、これを機に居直って、バラエティとかに出てほしい。日本人は、日本語ペラペラの外国人が大好きだから、すぐに人気者になれるだろう。カロリーナさんの頭の回転が早ければ、イーデス・ハンソンさん(古いな)以来の、女性タレントになれるかもしれない。
ところで全然話は変わるようであるが、今日「クローズアップ現代」を見ていたら、ホストのために性風俗で働く若い女性がいかに多いか、という特集であった。
組織ぐるみで、女の子を借金まみれにするやり口が出てきた。それによると、いちばんのカモは、
「世の中のことを知らないで、服がボロいコ。地方出身のコ」
だと。ホストへの怒りで体が震えた。
ちょっと前まで、ホストクラブというところは、お金持ちの女性経営者とか、美容整形クリニックの女性院長が行くところではなかったか。
お金のあるおばさんたちが楽しんでいる分には、世間も何も言わなかったはず。しかし彼らは今、ターゲットを若い女性に定めているのだ。世間知らずの女の子に、とんでもない借金をかぶせる。売春ということを前提として。
大学生だった娘は、借金のために地方のソープランドを転々とし、今行方不明だと嘆くお母さんが画面に出ていた。これは犯罪ではなかろうか。
先週、女性がものすごく変化していると書いたばかり。
が、別の場所では旧態依然のままではないか。ミスコンテスト、という、時代遅れのことをやってるくせに、ダイバーシティとか言って時代の先頭にいきたいと思う輩。そして女性の情を換金しようとするホストクラブ。
今回、この2つのことが徐々にあかるみに出てきた。当然変えなくてはいけないミスコンとホストクラブ。どこかが似ている。何がだろう。