膵臓という臓器はほかの臓器にくらべ認知度があまり高くありません。そのためか胃に問題があると訴える患者さんの中には検査をすると膵臓の病気だったという事もしばしばあります。膵臓の病気は胃潰瘍などと同じような症状を起こす事が多くあり、また膵臓は胃の後ろ側にあるため「胃が痛い」と思われるのも理解できます。
膵臓は2つの重要な働きである内分泌機能と外分泌機能を担っています。内分泌機能とは糖代謝に重要なホルモン(インスリン、グルカゴン)を産生する機能を担っています。外分泌機能は膵臓から膵液を分泌して食物の消化を行っています。膵液にはいくつかの消化酵素が含まれていて、主なものにはアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンがあります。
急性膵炎は、何らかの原因で膵酵素が病的に活性化され、膵臓と周辺組織を消化してしまい、膵臓に炎症をおこす事をいい、上腹部の痛み、発熱、嘔吐などの症状があります。軽度のものから重篤なものまであり、意識障害を起こす事もあります。
急性膵炎の原因
急性膵炎の原因としては、胆石、アルコールの多量な接種が主な原因です。診断には血液検査とCT検査を行います。また急性膵炎は通常入院が必要になります。急性膵炎の2大原因の一つであるアルコールは大量に摂取した場合に原因となり、飲酒量に伴い膵炎の発生リスクは高まります。
男女比では1:0.45の割合で男性に多く、男性では50歳代、女性では70歳代に多く発症しています。
急性膵炎の症状
急性膵炎の症状は「上腹部に重度の腹痛」です。その痛みは背中にまで達することがあります。急性膵炎の原因が胆石の場合、この痛みは突然始まります。アルコールが原因の場合は数日かけて痛みが発生します。
いずれの場合も激しい痛みが特徴です。そのほかには、悪心、嘔吐、背部痛、食欲不振、発熱、腹部膨満感があり、前かがみになると腹痛が軽減する傾向にあります。 急性膵炎の治療
急性膵炎が疑われる場合は、腹部超音波検査、血液検査、X線CTなどの検査を行います。軽度の急性膵炎の場合は短期入院して輸液を行います。また膵臓を休ませるため絶食します。
中等症から重症の場合は長期間の入院が必要になります。軽度と同様に輸液を行い絶食をします。そのほか痛みの緩和のため鎮痛剤を投与します。