2024年4月20日 5時00分

人口からみた世界

 これが「世界最大の選挙」なのかと驚くばかりである。インドできのうから投票が始まった総選挙は、数字を見るだけでその規模に圧倒される。有権者数は約9億7千万人。100万カ所以上の投票所で、1500万人が管理に当たる。7回に分けた投票は6月1日まで続く▼インドの人口は昨年に中国を抜いたとされ、世界最多になった。国連が3日前に発表した2024年版の世界人口白書では、世界の総人口は約81億2千万人。インドは約14億4千万人で、18%近くを占める。若年層が多く巨大な市場がまぶしく見える▼軍事力以外で一国の力を決める最も重要な要因は経済規模で、人口と密接に関係している――。そう書いたのは英国の人口学者、ポール・モーランド氏だ。著書『人口で語る世界史』は、近代以降の世界史を人口からたどる観点が面白い▼少子高齢化は世界的な潮流で、年金や介護の負担が増えるとの分析にうなずいた。歴史上最も速く高齢化が進んでいる日本から「他の国は学ぶことがあるかも」とも書くが、渦中にあって解は見えない▼総務省が今月12日に公表した人口推計によると、日本の総人口は1年で59万人余り減った。13年連続の減少だ。その一方で、75歳以上は1950年以降で初めて2千万人を超えた▼「人口が多い日本」は過去になり、出生率も急に伸びそうにない。それでも悲観せず、なぜ減ったのかを改めて見直すことはできないか。生きにくさは数字にではなく、変わらぬ社会にある。