2024年11月22日 5時00分

「103万円の壁」の引き上げ

 自民党の税制調査会は、かつて税のあり方を決めるのに絶大な力を持っていた。1980年代に税調のドンと呼ばれた山中貞則(やまなか さだのり)会長は、政府側を軽視しているのでは、と記者に問われて答えた。「軽視しない、無視する」▼業界や省庁から税制改正の要望を聞き、一覧表にし、項目ごとに○×で決めていく密室劇。新税を導入する可否(可否)をめぐっては、「党三役ごとき」に判断を仰がないと豪語したこともある▼いまや議論の主導権は、党税調どころか自民党の手にもないのでは――。そう思わせる一幕だった。「103万円の壁」の引き上げをめぐり、玉虫色で決着させようとした自公に、国民民主の古川元久(ふるがわ もとひさ)税調会長が「あんこがないまんじゅうは食べられない」と反発した。自民の小野寺五典(おのてら ごてん)政調会長が、本物のまんじゅうを持参してとりなしたそうだ▼3党の合意文書に引き上げが明記され、国民民主は「大きな一歩」と喜んだ。今後は、どれほど引き上げるのかが焦点になる。気になるのは税収減だ▼物価上昇への対処は必要だろうが、国民民主の主張を丸のみすれば、7兆~8兆円の減収になるという。地方自治体から悲鳴が上がっている。なのに、古川氏は「我々は与党ではない」と財源論を放り投げてきた。難題から目をそむけたままの得手勝手(えてかって)では「対決より解決」という党のフレーズが泣く▼「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代のことを考える」。19世紀の米国の牧師の言葉だという。さて政治家はいるか。

103万の壁とは、税金が増える年収額のこと

103万円の壁とは、給与収入が年103万円を超えると、自分のバイト代やパート代などに所得税が課税され始める年収額を指します。学生やフリーターなど家族の扶養に入っている人は、年収103万円を超えると扶養を外れ、親などの扶養者の所得税と住民税が増える年収額でもあります。税金は、課税対象の所得≒収入を1円でも超えると、税金が課税されたり、扶養から外れるので、対象になりそうな人は注意が必要です。

103万円 = 216996.49 新台湾ドル