2024年11月14日 5時00分

米大統領選と世論調査

 大接戦になると思ったのに。先週の米大統領選で開票速報を見た人の多くは、そんな感想を抱いたのではないか。米メディアが報じた世論調査では、トランプ氏とハリス氏の支持率にほぼ差はなかった。ふたをあければトランプ氏の完勝で、ハリス氏も早々に敗北宣言をした▼こうなると、素朴な疑問がわく。あれだけ僅差(きんさ)を伝えた世論調査は何だったのか。そもそも今回は「三度目の正直」だった。2016年は、当選が確実視されたクリントン氏がトランプ氏に敗れた。20年はトランプ氏が敗れたが、あそこまで票を伸ばすと予想できなかった▼米紙ニューヨーク・タイムズは先月下旬、過去の大統領選で「世論調査が失敗した理由」を詳細に分析した。トランプ氏が登場した8年前から、「どうすれば支持者に接触できるか」と模索してきたことがわかる▼トランプ氏の支持者は連絡自体が難しいという。在宅が増えて全般的に回答率が上がったコロナ禍でも外出を続けていた。普段は政治への関心が低く、共和党員の登録をしていない人も多かった▼朝日新聞を含む日本のメディアも、選挙のときは情勢調査を行っている。対面から固定電話、携帯電話、インターネット調査へと手法は広がってきた。選挙情勢への関心にこたえ、投票の判断材料の一つとして報じている▼今回の大統領選で出た「ずれ」の評価はこれからだ。より正確な調査結果を求めてまた、手法や分析などの模索が始まるだろう。世論調査の世界は奥が深い。