2024年11月3日 5時00分
野党とは何か
どの党も過半数を取れなかった衆院選の後、「野党」について考えている。そもそも野党とは何で、いつからあるのか。小紙では、1890年の帝国議会開設の前後には「在野党」が登場していた。徐々に「野党」に置き換わり、定着してから100年もたっていない▼在野党が使われ始めた当初は、「反対党」や「非政府党」も混在していた。こちらの方が「政権党ではない党」をより強く感じるがどうだろう。議会政治の黎明(れいめい)期で、どう総称するかを新聞も模索していたのかもしれない▼政治学でも、野党は主要な研究対象になりにくかったそうだ。理由の一つは定義の難しさにある。政権交代を目指す、政権とは距離を置き存在感を示すなど、立場が多様で体系的な考察がしにくい(吉田徹編著『野党とは何か』)▼野党の国民民主党が、与野党双方から盛んに接触されている。各党と「等距離」だとし、自公の連立与党との「部分連合」かと問われても認めない。首相指名選挙でも、棄権より「玉木雄一郎」と書いて無効となった方が、「部分連合」っぽくない▼28議席で政治を動かせるのだから、最大限に生かさねばというわけだ。問題は、有権者が望む政治改革につなげられるかだ▼石破茂首相は著書『国難』で、野党時代のつらさを吐露している。「まず人が来ません。(略)自民党本部には突然、閑古鳥が鳴き始めました」。与党への距離は非常に長いが、安易な近道などない。野党の最大の存在意義は政権監視にある。