2024年8月22日 5時00分
孤独死と若者
「孤独死(こどくし)」という言葉は、高齢化が進んだ1990年代ごろからよく聞くようになった。1人で暮らす高齢者の不安と結びつけがちだが、最近は若者でも孤独死を心配する傾向があるという。一体どういうことか▼LINEを使った安否(あんぴ)確認サービスを提供しているNPO法人「エンリッチ(enrich)」代表の紺野功(こんの いさお)さん(64)を訪ねた。「若い人がこれほど孤独死を意識しているとは、予想もしなかった」という。この6年で15~105歳の延べ約1万4千人が登録し、うち約2割を10~30代が占める▼無料サービスの仕組みはシンプルだ。登録者が設定した時間帯に「お元気ですか」のメッセージを送り、「OK」の応答を受ける。無反応(はんのう)が続けば直接電話をかけ、出なければ近親者などの緊急連絡先へ伝える。ほとんどは応答忘れだが、約10人の登録者が病気や自殺で亡くなり、早期に発見されたという▼若者が急増した(きゅうぞうた)のは4年前だ。「コロナで孤独死するのが怖い。友達とはSNSのつながりだけ」といった理由が目立った(めだった)。最近は、飼い猫の行く末を案じた登録が多い。「ペットに癒やしを求め、もしもに備えたスマホの安否確認が心の安定剤になる時代なのでしょうか」と紺野さん▼孤独死に関する全国統計はない。だが、東京都監察医務院によると、2020年に東京23区内で自宅で亡くなった一人暮らしの10~30代は272人にのぼった▼コロナで、孤独も死も切実になったのだろうか。スマホの「OK」が、「助けて」に見える。
むすびつ・ける 5【結び付ける】 (動カ下一)《文カ下二 むすびつ・く》 ① 動かないよう結んでつなぐ。ゆわえつける。「おみくじを境内の木の枝に―・ける」 ② 関係づける。「地震と火山の活動を―・けて考える」