2024年1月27日 5時00分
裏金疑惑むかしむかし
むかしむかし、あるところに抜け道を通るのが大好きなセンセイがおりました。仲良しなのは、76年前に生まれた政治資金規正法です。何度改められても「政治とカネ」の問題が絶えないので「ザル」と呼ばれています。それでもセンセイは気にせず、つきあいを続けていました▼ある日、センセイは山で盛大なパーティーを開きました。たくさんの人がパーティー券を買ってくれたので、「ノルマを超えた分は私のものだ」と大喜び(おおよろこび)。「やっぱり、偉くなるには金を集める力がいるのさ」と得意そうでした▼ところが、「パー券で裏金づくりをしているのではないか」と村で大騒ぎ(おおさわぎ)になりました。問い詰められたセンセイは「法に基づき適正に対応している」としか答えません。雲行きが怪しくなってくると「捜査中なので控える」と逃げ出す始末でした▼村には「5人衆」と呼ばれる実力者(じっりょくしゃ)たちもおりました。同じ疑惑で調べられましたが、彼らもザルとは腐れ縁(くされえん)。その性格も弱みもよく知っていました。巧みにかわし、お咎め無しで(おとがめなしで)すみました▼さあ、納得がいかないのは村人たち(むらびとたち)です。「線引き(せんびき)が3千万円なんて、高すぎる」「ザルに大きな穴があいている」と不満を口にしました。「確定申告するのがむなしくなるなあ」と嘆く人もいました▼結局、問題の根っこは規正法だとみんなが思っています。センセイたちは改正を急ぐそうですが、ザルを変えられるのか疑問です。めでたしめでたし、では終わりそうもありません。