2024年1月14日 3時12分

台湾総統選挙 民進党・頼清徳氏当選 立法院は過半数維持できず

13日に投票が行われた台湾の総統選挙で、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得し、野党の2人の候補者を破って当選しました。

台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担う(になう)ことになります。

一方、同時に行われた議会・立法院(りっぽういん)の選挙では民進党が過半数を維持できず、5月に就任する予定の頼氏は難しい政権運営を強いられることになりそうです。

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4年に1度行われる台湾の総統選挙には、与党・民進党から今の副総統の頼清徳氏、最大野党・国民党から現職の新北市長の侯友宜氏、野党第2党・民衆党から前の台北市長の柯文哲氏のあわせて3人が立候補しました。

投票は13日に行われ、即日開票の結果、

投票率は71.86%で、前回4年前より3ポイントあまり低くなりました。

中国との向き合い方が争点の1つ

選挙戦では、中国との向き合い方が争点の1つとなり、中国の圧力に対抗する姿勢を示す与党・民進党が政権を維持するのか、中国との対話や交流拡大などを訴える野党が政権交代を実現するのかが焦点となりました。

頼氏は、「中国と台湾は別だ」という立場で、アメリカなどとの連携を強めて中国を抑止しようという現職の蔡英文総統の路線を継承すると訴えました。

これに対し、野党の2人は、頼氏がかつて「自分は現実的な台湾独立工作者だ」と発言したことを執拗にとりあげ、なかでも侯氏は「民進党政権が台湾海峡の両岸に武力衝突の危機をもたらした」と批判し「両岸の交流を密にして衝突のリスクを下げる」と主張しました。

しかし、中国当局が今回の選挙を「平和か戦争かを選ぶものだ」と定義して台湾の選挙への介入ともいえる姿勢を示すなか、侯氏らの主張に支持は広がりませんでした。

頼氏はことし5月に就任する予定で、台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。

民衆党の柯文哲氏も敗北を認める

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民衆党の柯氏は日本時間の午後9時すぎ、支持者を前に「私はあきらめないので皆さんもあきらめないでほしい。私たちは必ず努力を続け、4年後、自信をもって柯文哲と民衆党に投票してもらえると信じる」と述べ、事実上、敗北を認めました。

柯文哲氏 敗因は

柯文哲氏は今回の選挙戦で「新たな勢力による政治の変革が必要だ」だとして、台湾でこれまで交互に政権を担ってきた民進党でも国民党でもないみずからが率いる民衆党によって政権交代をすべきだと訴えましたが、幅広い支持が得られませんでした。

また、今回の選挙戦では、立候補の届け出の締めきり直前に最大野党・国民党との候補者の一本化をめぐっていったんは合意したものの結局は実現しなかったことで、既成政党と組もうとしたというマイナスイメージなどから支持が広がらなかったものとみられます。

与党・民進党 立法院の選挙では過半数維持できず

一方、総統選挙と同時に行われた議会・立法院の選挙では、113議席のうち、国民党が52議席、民進党が51議席、民衆党が8議席を、それぞれ獲得しました。

民進党は改選前より11議席減らして過半数を維持できませんでした。

住宅価格の高騰などへの不満が与党に向かったことや、長期政権をけん制する有権者の心理が要因とみられ、頼氏は「われわれの努力が足りなかったことを意味する。虚心に反省すべき点だ」と述べましたが、難しい政権運営を強いられることになりそうです。