2023年11月29日 5時00分

ガザ戦闘休止の延長

　教育番組などを対象にした国際コンクール「日本賞」のグランプリ作が先日決まった。「トゥー・キッズ・ア・デイ」。イスラエル軍に石（いし）を投げて投獄されたパレスチナの少年たちを追った海外ドキュメンタリーだ▼平和に慣れた目に、映像は衝撃的だ。ヨルダン川西岸地区（せいがんちく）で軍は通告する。「投石（とうせき）するならば全員殺す。一人残らずだ。子どもだって容赦しない。殺しに行く」。そして夜。銃を持った兵士が家を急襲し、目隠しして連れて行く▼１４歳のアリは手錠をはめられたまま、取り調べでしくしく泣いた。そして１７歳になったいまも幻（まぼろし）に悩む。「怖いんです。夜になると彼らが来るのが見える」。服役は１～４年に及んだ。同じような子が、あの帰還者の中にもいたはずだ▼ガザ地区の戦闘休止で、イスラエルは収監中の１５０人を釈放した。投石した人や少年が含まれていたと報じられている。ハマスの人質だった６９人にも思いをはせたい。解放された１７歳の少女が抱きしめられて、涙を流す写真を見た。どんなに怖かっただろう▼１９４７年のきょう、国連はかの地に二つの国家を作る決議を採択した。アラブとユダヤ。違いを探せばきりがない。境を接してゆかねばならぬのなら、同じものを探したい▼４日間の戦闘休止は、何とかあすまで延長となった。家族の無事を願う気持ちは、どちらも同じであろう。悲劇はもうたくさんだ。細い道であることは承知のうえで書く。休止をさらに続けて停戦へ。そう願ってやまない。