ハーメルンの笛吹き男(ハーメルンのふえふきおとこ、独: Rattenfänger von Hameln、英語: Pied Piper of Hamelin)は、現在のドイツの街ハーメルンにおいて1284年6月26日に起きたとされる出来事についての伝承である。グリム兄弟を含む複数の者の手で記録に残され、現代まで伝わった。

伝承の概要

笛吹き男のパレード(2009年、ハーメルン)

1284年、ハーメルンの町にはネズミが大繁殖(だいはんしょく)し、人々を悩ませていた。ある日、町に笛を持ち、色とりどりの布で作った衣装を着た男が現れ、報酬(ほうしゅう)をくれるなら町を荒らし回るネズミを退治(たいじ)してみせると持ちかけた。ハーメルンの人々は男に報酬を約束した。男が笛を吹くと、町じゅうのネズミが男のところに集まってきた。男はそのままヴェーザー川(ヴェーザーがわ)に歩いてゆき、ネズミを残らず溺死させた。しかしネズミ退治が済むと、ハーメルンの人々は笛吹き男との約束を反故(ほぐ)にして報酬を払わなかった。

約束を破られ怒った笛吹き男は「お前たちの大切なものを代わりにいただこう」と捨て台詞を吐きいったんハーメルンの街から姿を消したが、6月26日の朝(一説によれば昼間)に再び現れた。住民が教会にいる間に、笛吹き男が笛を鳴らしながら通りを歩いていくと、家から子供たちが出てきて男のあとをついていった。130人の少年少女たちは笛吹き男の後に続いて町の外に出てゆき、市外の山腹(さんぷく)にある洞穴(どうくつ)の中に入っていった。そして穴は内側から岩で塞がれ(ふさがれ)、笛吹き男も子供たちも、二度と戻ってこなかった。物語によっては、足が不自由なため他の子供達よりも遅れた1人の子供、あるいは盲目(もうもく)と聾唖(のうあ)の2人の子供だけが残されたと伝える。

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