2023年5月6日

チャールズ英国王戴冠、70年ぶりの式典 1千年の伝統と現代を反映

2023年5月6日、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた戴冠(たいかん)式で、カンタベリー大主教から聖エドワード王冠を授けられたチャールズ国王=AP

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 エリザベス英女王の昨年9月の死去に伴い即位したチャールズ国王(74)の戴冠(たいかん)式が6日、ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で開かれた。1953年の前女王の戴冠式以来、70年ぶり。1千年以上に及ぶ伝統と、現代英国の姿を反映した多様性が共存した式典となった。

 戴冠式は君主の即位を国内外に伝える儀式で、1千年以上にわたり受け継がれてきた。英議会によると、伝統的な戴冠式が存続しているのは欧州で英国だけだという。チャールズ国王は、英国国教会の最高位聖職者であるカンタベリー大主教から、聖油(せいゆ)を両手や胸、頭に塗る「塗油(とゆ)」を受けた後、王冠を授けられた。英国国教会のトップである国王の宗教的な権威を示す宝珠(ほうじゅ)や、王権を示す王笏(おうしゃく)なども受け取った。

 カミラ王妃も戴冠した。

 儀式で国王が玉座に座ると、ウィリアム皇太子がひざまずいて忠誠を誓った。

 大主教(だいしゅきょう)が「神よ、国王を救いたまえ」と声を上げ、参列した人々が「国王が永遠に生きますように」と応じた。

 国王は式典後、1762年製造の馬車「ゴールド・ステート・コーチ」に乗り、ウェストミンスター寺院からバッキンガム宮殿までパレード。沿道は早朝から詰めかけた英国旗を持った人らであふれた。

 旧約聖書にも記されている「塗油」は歴史的な神聖さからついたてで囲んだ中で行われ、公開されなかった。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻などによって生じたインフレが収まらず「生活費危機」に見舞われる英国民感情に配慮し、式典内容の簡素化も図られた。1953年の戴冠式では、参列者は約8千人だったが、今回は2200人に縮小された。国外からは秋篠宮ご夫妻やバイデン米大統領の妻ジルさんらが参列した。

 2020年3月末で英王室の公務から引退後、自伝などで王室や家族への不満を明らかにしてきたチャールズ国王の次男ハリー王子(38)は参加し、妻メーガン妃(41)は欠席した。(ロンドン=金成隆一、杉山正)

英ウェストミンスター寺院で1953年6月2日、エリザベス2世の戴冠(たいかん)式に出席する(左から)エリザベス皇太后、チャールズ皇太子、マーガレット王女=AFP時事

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 70年ぶりに英国で行われる戴冠(たいかん)式(コロネーション)。過去には、3トンの牛肉や約1万本のワインを振る舞うなど豪勢な夕食会が開かれたこともあったが、チャールズ国王(チャールズ3世)は出席者数を減らすなど規模の縮小を図っている。英国民が物価高による生活費の危機に直面する中、いったいどれほどの費用がかかるのか....

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