2025年4月17日 5時00分
グーグルへの排除命令
いまから30年前だ。ウィンドウズ95が発売され、先輩がパソコンを使い始めた。広大な情報の海から必要なものをどう探すのか、と尋ねると「ヤッホーというのがあるんだよ」。自慢げに、ナイツの漫才みたいな台詞(せりふ)で教えてくれたのを思い出す▼Yahoo!、インフォシーク、エキサイト……。黎明(れいめい)期には、検索エンジンが割拠(かっきょ)した。勢力図を一気に塗り替えたのが後発のグーグルだった。いまや国内のスマホ検索(けんさく)で、シェア8割だという。天気でも、昼食の店でも、乗り換え案内でも、知りたいことはグーグルに聞く。お世話にならぬ日がない▼そのグーグルに排除措置命令が出た。自社の検索アプリの搭載をスマホメーカーに強いて(しいて)いたと、公正取引(こうせいとりひき)委員会は認定した。処分が確定しても、消費者やメーカーが選ぶのは結局のところ、使い慣れたグーグルなのかもしれない▼それでも、君臨するGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の足元で、次世代の優れた技術が育つ余地が増えるなら意義は小さくないだろう。一番分かっているのはグーグルのはずだ▼「怖いのは、どこかのガレージで、まったく新しい何かを生み出している連中だ」。1998年、絶頂期のマイクロソフトを率いるビル・ゲイツは言った。グーグルはその年、まさにガレージで誕生した▼アーサー・ブロック著『マーフィーの法則(Murphy's Law)』にこんな言葉がある。「いかなる分野の貢献者も、長くいると、その貢献度に比例して進歩を妨げる存在となる」。そんな存在には、なってほしくない。
Murphy's Law is a common saying, often used humorously, that "anything that can go wrong will go wrong". It's an observation about the tendency for things to misfire or fail, particularly when unexpected or undesirable consequences are possible. While it's not a scientific law, it reflects a common experience of frustration with the unpredictable nature of life.