2025年1月16日 5時00分

利益の最大化

 利益を最大化する。コスパ、タイパを最大化できる。次のキャリアを応援していく――。きのう、石丸伸二(いしまる しんじ)氏が東京都内で開いた記者会見を見ながら、企業経営者のようだと感じた。地域政党「再生の道」を立ち上げ、今夏に予定されている都議選で候補者を擁立するという▼そもそも政党とは何か。支持者の意見を実現するために条例や法律をつくり、政策を進めることを目指す団体だと思っていた。だが、石丸氏の新党には掲げる(かかげて)政策がないという。党議拘束(こうそく)もなく、党のルールは「2期8年を上限とする」だけだ▼広く国民の政治参加を促すと言うが、求めているのは「即戦力」だ。だから現職の都議が応募すれば、選考なしでその選挙区の候補になれる。正副の知事や市長の経験者も選考免除である▼選考過程は3段階で、2次の結果から公表するそうだ。最後の面接は1人15分の枠で「私とワン・オン・ワンで対談してもらう」。動画配信もするので落ちたら気の毒な気もするが、「3次までこぎ着けたというのは、そう悪くない評判になる」と自信たっぷりだ▼政治家の人材育成を目的としながら、選考なしで現職を優先する。新党だと言いながら、他党と掛け持ちするのは構わない。いくつもの矛盾が目につき、これは政党なのかと疑問符が浮かぶ▼会見終盤では、地域政党を掲げて「東京」を選んだ理由も明かした。「石丸伸二という名前が一番通っているのは、ここ」「浮動票が多いから」。一番納得(なっとく)した発言だった。