2025年 大河ドラマ(第64作) べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~
蔦屋重三郎(つたやじゅうさぶろう、1750-1797)
18世紀半ば、人口は100万人を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した大都市・江戸。蔦重こと蔦屋重三郎は、江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋(ひきてぢゃや)の養子となる。血のつながりをこえた人のつながりの中で育まれた(はぐくまれた)蔦重は、貸本屋から身を興して(おこして)、その後、書籍の編集・出版業をはじめる。
折しも(おりしも)、時の権力者・田沼意次((たぬま おきつぐ)が創り出した自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内(ひらが げんない)など多彩な文人が輩出。蔦重は、朋誠堂喜三二((ほうせいどう きさんじ)などの文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本(き‐びょうしほん)」という挿絵をふんだんにつかった書籍でヒット作を次々と連発。33歳で「江戸のシリコンバレー」こと、日本橋通油町(とおりあぶらちょう)に店を構えることになり、“江戸の出版王”へと成り上がっていく。
蔦重が見いだした才能は、喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)・山東京伝(さんとう きょうでん)、葛飾北斎(かつしか ほくさい)、曲亭馬琴(きょくてい ばきん)、十返舎一九(じっぺんしゃ いっく)といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。
しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信((まつだいら さだのぶ)による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる…蔦重は、その後も幕府からの執拗な弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔(びょうま)が襲う。
命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽((しゃらく)」を仕掛けるのだった…。
…須原屋市兵衛と並ぶ江戸時代の代表的な出版業者。蔦重と俗称される。江戸吉原に生まれ,喜多川氏の養子となる。…
- ひきてぢゃや 3【引き手茶屋】 遊郭で,客を娼家に案内するのを業とする茶屋。中宿(なかやど)。