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『白い巨塔(しろいきょとう)』は、山崎豊子の長編小説。浪速大学(なにわ だいがく) に勤務する財前五郎(ざいぜん ごろう)と里見脩二(さとみ しゅうじ)という対照的な人物を通し、医局制度の問題点や医学界の腐敗を鋭く追及した社会派小説である。山崎豊子作品の中でも特に傑作と名高く、1966年の映画化以来、何度も映像化された。映像化作品などについては、映像化作品セクションとラジオドラマ作品セクションを参照。
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[白い巨塔 (2003年のテレビドラマ)](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E3%81%84%E5%B7%A8%E5%A1%94_(2003%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)
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白い巨塔-相関図-唐沢寿明(2003年)
§正編
人物 | 役名 | 写真 | 人物解説 |
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財前五郎(ざいぜん ごろう) | 唐沢寿明(からさわとしあき) | 浪速大学第一外科助教授。性格は財前と対極にある。実直で、権威を恐れず、医そのものを真摯に求める内科医だ。この人物もこうありたいという男のひとつといえる。 | |
里見脩二(さとみ じゅうじ) | 江口洋介(えぐちようすけ) | 性格は財前と対極にある。実直で、権威を恐れず、医そのものを真摯に求める内科医だ。この人物もこうありたいという男のひとつといえる |
¶プロローグ
食道噴門癌(ふんもんがん)の手術を得意とする国立浪速大学第一外科助教授・財前五郎は、次期教授を狙う野心に燃える男である。一方、財前の同窓である第一内科助教授・里見脩二は患者を第一に考える研究一筋の男。
食道噴門癌の若き権威として高い知名度を誇る財前の許には、全国から患者が集まってくる。その多くは、著名な有力者やその紹介の特診患者など、金を貢いでくる成功者たちであった。
その卓越した技量と実績に裏打ちされた自信と、野心家であくが強い性格の持ち主である財前を快く思わない第一外科教授・東貞蔵(あずま ていぞう)は何かにつけて財前に苦言を呈する。
財前 五郎(ざいぜんごろう)40歳 ・・・・・・ 唐沢 寿明 国立浪速大学第一外科助教授。食道外科を専門とし、とくに食道癌の手術に関しては絶対の技術とそれに裏打ちされた自信を持つ。頭の回転の速さと用心深さにより、自信に満ちたふてぶてしさと、打って変わった謙虚な態度を相手によって使い分ける男。
里見 脩二(さとみしゅうじ)40歳 ・・・・・・ 江口 洋介 国立浪速大学第一内科助教授。財前の同期であり、終生のライバル。患者と徹底して向き合うことにより、確かな信頼関係を築き、患者とともに病気に立ち向かうことを信条としている。反面、不器用であるがゆえに、教授や財前としばしば衝突する。
花森 ケイ子(はなもりけいこ)38歳 ・・・・・・ 黒木 瞳 クラブ・アラジンのママ。女子医大を中退している。財前五郎の愛人で財前が唯一、心を開き本音を語れる相手。 美しく聡明で、財前のみならず東や鵜飼までも手玉に取り、白い巨塔で繰り広げられる人間の愚かさを、どこか楽しんでいるようにも見える。
東 佐枝子(あずまさえこ)24歳 ・・・・・・ 矢田 亜希子 東貞蔵教授の一人娘。若さゆえの理想と、それに相反する甘さを持ち合わせる。名誉欲、権力欲が渦巻く白い巨塔の中の人間関係に辟易している。そんな中、純粋に人を救うことに情熱を傾ける里見に出会い衝撃を受け、次第に特別な感情を抱いていく。
里見 三知代(さとみみちよ)33歳 ・・・・・・ 水野 真紀 里見脩二の妻。平凡ではあるが無邪気な純粋さを持ち、里見の医師としてあり方を理解し誇りに思っている。里見とは三知代の亡父の主治医であった関係で結ばれた。しかし、時おり里見が見せる陰が気になる。
関口弁護士(せきぐち) ・・・・・・ 上川 隆也 佐々木よし江の頼みに心を打たれ弁護を引き受ける、実力派若手弁護士。 病院の事実隠蔽、証人に対する圧力工作など、数々の障害を、粘り強い努力と里見と佐枝子の協力ではね返し立ち向かう。
菊川 昇(きくかわのぼる)41歳 ・・・・・・ 沢村 一樹 石川大学医学部教授。東が手を回し、財前の教授選の対抗馬として仕立て上げる心臓外科医。財前に比べると控えめな性格だが、心臓外科医としての腕は抜群で、研究発表においても評価が高い。
佃 友博(つくだともひろ)33歳 ・・・・・・ 片岡 孝太郎 国立浪速大学第一外科医局長。筆頭助手であり全医局員を束ねる。上昇志向が強く、財前が教授選を闘う際には、側近の部下として医局内の選挙工作の全てを取り仕切る。信頼関係というよりも利害関係で結ばれた、腹心の部下と言える。
飼 良一(うがいりょういち)58歳 ・・・・・・ 伊武 雅刀 国立浪速大学第一内科教授・医学部長。医師としての才覚よりも、政治的手腕に長け、財前の教授選でも、自身の学長選挙を睨んで協力する。白い巨塔に君臨する権力者の代表。
国平弁護士(くにひら) ・・・・・・ 及川 光博 財前側が雇った、医療裁判を専門とする新進気鋭の弁護士。これまでの医療裁判でも病院側に立つことが多く、今回も破格の報酬と天下の浪速大たっての頼みとあり、引き受けた。緻密な医学理論と、周到な政治的圧力のかけ方で原告側を圧倒する。
財前 杏子(ざいぜんきょうこ)35歳 ・・・・・・ 若村 麻由美 財前五郎の妻で又一の娘。見栄と建て前に振り回される女。早く教授婦人となり、周囲の平凡な女たちから羨望の眼差しを受けたいと思っている。
亀山 君子(かめやまきみこ)29歳 ・・・・・・ 西田 尚美 外科病棟ナース。財前が教授になり、ほどなくして病院を辞めた看護師。裁判で鍵となる事実を知っているが、財前側の妨害工作や、自分の生活の安定を考え、証人に立つことを拒み続ける。
鵜飼 典江(うがいのりえ)54歳 ・・・・・・ 野川 由美子 鵜飼学部長夫人。教授婦人親睦会「くれない会」会長で、教授婦人たちを取りまとめている。婦人たちが自分の言いなりなのがたまらなく快感に思っている。
黒川 きぬ(くろかわきぬ)63歳 ・・・・・・ 池内 淳子 財前五郎の実母。五郎が小学生の時に夫を亡くして以来、苦労しながらも女手一つで五郎を育てた。岡山の田舎で農業を営みながら一人で暮らしている。五郎は早く教授になって母を喜ばせてやりたいと思っているが、きぬはそんな息子を心配し遠くから見守っている。
佐々木 よし江(ささきよしえ) ・・・・・・ かたせ 梨乃 佐々木庸平の妻。夫の突然の死により、生活が一変する。突然会社の経営を任されるが、当然のようにうまく行かず、また医療過誤で財前を訴えるが、圧倒的に不利な状況に途方にくれる。しかし、「ただ本当のことが知りたい」という一点の思いで最後まで闘いぬく。
竹内 雄太(たけうちゆうた)30歳 ・・・・・・ 佐々木 蔵之介 第一内科医局員。柳原と同期であり、第一内科に籍を置く。医師というものを単純に職業としてとらえており、ある種、現代的な考え方を持つ。柳原とは悩みや疑問をぶつけ合う、よい友人でもある。
東 政子(あずままさこ)50歳 ・・・・・・ 高畑 淳子 東教授夫人。生まれながらに虚栄に満ちた世界しかしらない。娘の佐枝子を医学教授と結婚させることに夢中になり、夫の退官後の地位を確かなものにしようと「くれない会」の醜いなれあいに耐えている。
岩田 重吉(いわたじゅうきち)62歳 ・・・・・・ 曾我廼家文童 浪速大学出身の開業医。医師会長を務め、開業医の間では隠然とした権力を持つ。又一とはつうかあの仲で、鵜飼とも同窓。財前の教授選に協力し、様々な方面に圧力をかける。
大河内 清作(おおこうちせいさく)62歳 ・・・・・・ 品川 徹 浪速大学病理学教室、教授。ひたすら研究に没頭する学究肌。基礎医学の教授たちのリーダー的存在。教授選においては厳正中立の立場を貫き通し、財前の大きな壁となる。
佐々木 庸平(ささきようへい) 家族会社を経営する大阪商人。食道癌で里見のもとを訪れる。財前の手で食道を摘出する手術を受けるが、術後に死亡。病理解剖により肺への癌転移が見つかる。
佐々木 庸一(ささきよういち)21歳 ・・・・・・ 中村 俊太 佐々木庸平の息子。父の突然の死を不自然に思い、裁判を決意する。 夫を亡くした悲しみと、病院からの圧力で挫けそうになる母親を支えつづける。
金井 達夫(かないたつお)35歳 ・・・・・・ 奥田 達士 第一外科講師。自身では派閥に属さない独立派だと思っているが、現実は、組織の中で逆らうことなく、力ある者に追随している。結果的に財前派である。
安西 信也(あんざいしんや)30歳 ・・・・・・ 小林 正寛 第一外科助手。佃とともに財前の腰ぎんちゃく。どちからというと日和見主義で、取り立てて強い主張はない。要領よく立ち回ることで生き残っていければいいと考えている。
柳原 弘(やなぎはらひろし)28歳 ・・・・・・ 伊藤 英明 研修医を終えて2年目。第一外科医局員。ようやく患者を診ることができるようになってきた。多くの患者の命を救う財前を医師として尊敬している。よい医者になりたいという純粋な思いを持ちつつも、医療過誤裁判に巻き込まれ、白い巨塔の中に身を投じていく。
東 貞蔵(あずまていぞう)62歳 ・・・・・・ 石坂 浩二 国立浪速大学第一外科教授。発癌の理論研究において著名。 最も愛する言葉は「余裕と威厳」。その実、内心は人一倍小心者である。 日に日に大きくなっていく財前の医師としての存在を疎ましく思い、教授選では、学外から対抗者を呼びよせ、財前の教授昇格を防ごうとする。
財前 又一(ざいぜんまたいち)62歳 ・・・・・・ 西田 敏行 財前マタニティクリニック院長。生粋の大阪人で医師というよりは商人である。 金の使い方を心得ており、普段はがめついが、財前の教授選では湯水のように金を使い、裏工作をしていく。自身は大学に残り教授になれなかったことにコンプレックスを持っており、財前の教授昇格を切に願う。